SECOND CAREER PROJECT

2022/11/18

vol.1 株式会社伊藤園 金高 真大 編(元愛媛マンダリンパイレーツ)

四国アイランドリーグplus セカンドキャリアプロジェクトOB訪問

2021年から四国アイランドリーグplusの取組みとして、セカンドキャリアプロジェクトを開始しました。
プロジェクトの一環として、9月に全選手を対象とした企業説明会を開催。
企業説明会には、当プロジェクトに賛同いただいた企業にお集まりいただき、各社の事業説明をしていただきました。
事業内容に興味を持った選手と企業をおつなぎし、退団後の企業見学や面談を実施しました。

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今回、このセカンドキャリアプロジェクトを経て、四国アイランドリーグplusのリーグオフィシャルパートナーである株式会社伊藤園に入社した金高真大さん(元愛媛マンダリンパイレーツ【以下 愛媛MP】)を取材しました。

愛媛MPから伊藤園へ

—— 伊藤園さんに入社して半年が経ちました(2021年12月入社)。半年働いてみて、どうですか。

仕事には大分慣れてきました。
入社した頃は右も左も分からなかったので…。
でも、今は一人で営業先をまわることもできるようになりました。

—— 主にどのような仕事をしていますか?

今は営業を担当しています。(伊藤園の商品を)自動販売機に補充するのが主な仕事で、あとは一般のお店にも商品を納品しています。その中でお客さまと会話をし、新規開拓もしています。
納品先は酒屋さんや薬局など。紙パックの商品なんかが置いてある、購買のようなところです。

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12月から入社してちょうど半年、ある程度業務には慣れてきましたが、まだ分からないことも多いです。

—— まだまだ、これからの伸びしろに期待ですね!

アットホームな職場環境

—— (取材前に支店の皆さまにご挨拶をして)職場のみなさんがすごくアットホームな雰囲気驚きました。支店長さんや他の社員さんも野球好きな方が多いですか?

そうですね、入社してすぐに野球の話をすることができました。
入社したときから皆さんが優しくて。前任の方から業務の引き継ぎを受けた際もとても良くしていただき、色々と教えていただきました。

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—— 金高さんは社内で若手ですか?

今年の4月から僕より1歳下の新入社員が入社したので、僕が2番目に若いです。

—— 期待のホープですね!(笑)

伊藤園へ入社した経緯、背景

—— 伊藤園さんに入社した経緯、背景を教えてください。

最初は自分で(就職先を)探していましたが、自分の受けた会社は中途採用がなく、落ちてしまいました。
そこで、退団してから1ヶ月程は経っていましたが、四国アイランドリーグplusの事務局に相談することにしました。
事務局からは数社紹介していただき、会社説明を聞きました。その中で、自分にとって伊藤園さんが一番良いなと感じたので、そのまま面接に進みました。

—— 面接ではどんなことを聞かれましたか?

野球のことがメインでした。
野球で身に付けたこと努力したことはなんですか」「野球をしてきて成長した部分はどんなことですかなどですね。
あとは野球をしてきて成長した部分を、伊藤園に入社したらどのように活かせますかなど聞かれました。

—— どのように回答しましたか?

野球ではコミュニケーション能力を培うことができたので、それをかしていきたいと答えました。

—— 就職相談から入社まで、すごく早い印象でした。

11月下旬に会社説明を聞いて、自分の自己紹介プロフィールを送りました。
書類審査が通り、
オンライン形式の一次面接をしました。
一次面接の合格をいただき、つぎに岡山支店で対面形式の二次面接をしました。それからすぐに合格をいただき、12/16に入社…です。
1ヶ月もかからずに入社できました。(笑)

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選手時代を振り返って

—— 愛媛MPに入団したきっかけを教えてください。

もともとは社会人野球チームのテストを受けていて、「落ちたらもう野球は辞めよう」と親にも伝えていました。
結局、行きたいと思っていた社会人チームのテストには落ちてしまったのですが、親の知人が愛媛MPのコーチの方に繋がりがあって。
僕の知らないところで相談してくれていました

社会人チームのテストにも落ちたので、野球はもう辞めようと思っていたのですが

—— 親御さんとしては野球を続けてもらいたかったんですね。(笑)

そうなんです。(笑)
それで愛媛のトライアウトを受けてみて、ダメだったら辞めます。と、ハッキリ伝えて、個別トライアウトに参加しました。
受験した結果、特別合格の通知をいただきました。せっかくならあと1年は頑張ろうと思い、入団を決めました。

—— 去年1年、主力として試合に出ていました。

そうですね。68試合のうち55試合に出場しました。

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—— 9割程は出場していますね。尚更1年で退団というのは驚きました…。

選手同士で今後どうするか?という話にもなりましたが、僕はもう1年だけと決めていたので…。
止めてくれる仲間もいましたが、正直この先野球で食べていけるかと考えたら…。
早い判断ではありましたが、野球はもう辞めようと決めました。

—— しっかりと自分自身を客観的に見ることができているのですね。
選手時代に苦しかったこと、大変だったことを教えてください。

大変だったのは遠征です。
大学時代、遠征は泊まりでしたが、独立時代は日帰りで、次の日もまた同じ球場に行くというのが最初は大変でした。
でも、後半は慣れて来て、逆に楽しいと思うようになりました。(笑)
しんどい、しんどいと思っていても、面白くないなと思ったので。それを楽しまないといけないなと思いました。

—— 大変だったことも、次第に前向きに捉えられるようになったのですね!
ただ、野球ばかりやる環境や同じことをずっとしている時間が多いと、急に不安になる瞬間があるのではないかと思うのですが、そのあたりはどうでしたか?

僕にはそれはありませんでした。
元から1年と決めていたので、結果が出ようが出まいが自分の責任だし、この1年で終わると考えたら、1試合1試合で悔いを残したくなかったので。

—— 自責の念ですね。
野球漬けの毎日で、野球が嫌いになる瞬間はありませんでしたか?

自分を嫌いになるときはありました!(笑)
結果が出ないとき、打てないときに自分を嫌いになる瞬間はありました。
それでも野球を嫌いになる瞬間はありませんでした。
もう1年現役選手をしていたら、野球を嫌いになっていたのだろうなとは思いますが。(笑)

—— 程よいところで引退を決断したのですね。(笑)
今、野球はやっていますか?

今は中学校のクラブチームで指導者をしています。
あとは先日、会社の草野球に参加しました。

野球に真摯に向き合う中で、得られたもの

—— 野球を一生懸命やってきた中で、成長できたことはなんですか?

コミュニケーション力はすごく身についたと思います。
(キャッチャーをやっていて)会話をする機会が多く、特に愛媛MPは個性あふれる人がたくさんいて、コミュニケーション能力が鍛えられました。

—— 高卒の選手や大卒の選手、監督、コーチ、球団スタッフさんなど、普段はあまり関わることがない方々と会話することで、コミュニケーション能力が成長したのはとてもプラスなことですね。

はい、やはり人と会話することは大切だなと思います。
会社に入っても「独立リーグで野球していたの?」と聞かれて、「はい。そうです。」で終わったら、会話ではないですよね。
そこからどれだけ自分で話すことができるかが大切だと思うので、色々な人と会話する経験はとても大切でした。

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—— 四国アイランドリーグplusで学んだことはなんですか?

僕自身も含めて、社会人野球に行けない人達が集まっていて、何が欠けているのかを探したことは、とても勉強になりました。
あとは人間関係で言えば、本当にプラスになりました。
先ほども話した通り、全く違うところから集まって、1年だったら1年の付き合いだし、僕が2年いたら2年の付き合い
する方もいる。そこで色々な人に出会えたのが、僕にとってはプラスでした。
野球ばかりしておけば良いという環境に見えますが、僕はそこで出会った縁を大切にした方が良いなと思います。

—— 欠けているところを探すのはキャッチャーらしい分析ですね。(笑)
あとは、アイランドリーグでしかない出会えない縁があったという事ですね。

そうです。
あとは環境での学びもありました。僕が仕事を始めて思ったのは、仕事をできる環境があるから働けるし、野球ができる環境があるから野球ができるということ。
愛媛だったり高知だったり徳島、香川であったり、誰かがいないと野球はできないのだなと感じました。
例えば愛媛だったら星企画(愛媛MPのオーナー会社)があって、自分が野球をやっている陰には必ず誰かがいるということを選手を辞めてからではありますが感じました。
当たり前の環境があるわけではなくて、自分が野球をできてる裏には必ず誰かがいると思いながらプレーしたほうが、感謝の気持ちも出ますし、挨拶ひとつにしても変わってくるのかなと思います。

—— 金高さんがこれから目指していきたいことを教えてください。

今は目指したいところはありませんが、伊藤園に入ることができたので、一生懸命働く中で考えたいです。
今後のことを考えると、今の仕事が疎かになりそうで。あまり器用な方ではないんです。(笑)
まずはスポンサーさんのところで働かせてもらっているので、目の前のことをしっかりやろうと思っています。

うちの看板商品が「お〜いお茶」、その次に「健康ミネラル麦茶」なので、この二品をもっと選手にアピールしてもらいたいなって思います。(笑)

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後輩、四国アイランドリーグplusを目指す人たちへ

今プレーしている人達は、悔いなくやり切ってほしいなと思います。
途中で辞めることはせず、契約更新をした瞬間から契約更新が切れるまで、なにがあってもやり切ってほしいです。挫折は何回もあるとは思いますが、挫折してでもやり切ってほしいと思います。

また、もし挫折しても、良い仲間をつくってほしいです。
一人ぼっちで仲間もいないと、挫折したときにダメになる人もいると思いますが、仲間を作ることで、またやり直そうと思うこともできると思います。そうやって、チーム力も上がるのではないかなと思います。

今からアイランドリーグを目指す人は、覚悟を持つことで、野球に熱中できるのではないかと思います。
僕は入るときに「何年」って決めていたので。3年なら3年と決めて、それが2年になっても良いと思います。
良いお給料をもらえるわけでもないですし、そういう意味でも覚悟を持って入団した方が、僕は野球に熱中できるのかなと思います。
これは実際にやっていて感じたことです。

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セカンドキャリアプロジェクト
セカンドキャリアプロジェクト

 

(文責:四国アイランドリーグplus)