コリジョンルールを考慮した「繊細な指導」

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――練習や試合を見るとその指導は非常に細かい部分にも及んでいるように感じます。

河田 野手の場合で言えば、駒田監督が「行け!」とモチベーション的な部分を言ってもらって、勝呂コーチが細かい部分を担当して頂いています。選手たちにもいい形になっていると思います。

――「細かい」の一例をあげてみます。ある試合で、ライトの河田選手が三塁走者の犠牲フライ突入を阻止した場面ですが、ここで捕手がホームの1mくらい前に立って位置取りをして、河田選手からのストライク送球を受け、そのまま回転しながら座り込んでタッチアウトにしました。捕手のブロックが禁止となったコリジョンルールを頭に入れた素晴らしいプレーだったと思います。

河田 練習で言われていることは「送球が一塁側にそれれば全部セーフだが。三塁側にそれればアウトにできる可能性がある」。そこでノックから意識をしていることが、あのアウトにつながったんです。
「三塁側に流れれば捕手のグラブの回し方を考えればまだ可能性がある」そこはずっと意識していることです。

――打撃では「思い切り振る」がテーマになっています。

河田 今はヒットが出ても思い切り振れていないものはダメだと思っています。逆に「アウトになってもいいじゃないか」と思って、自分の形で振れたヒットはより嬉しい。今年取り組んだことをリーグ戦で出せないのが課題です。

――その意味では、NPBへ行くために「何かを変えなくてはいけない」きっかけを駒田監督や勝呂コーチに与えてもらったことも大きいのでは?

河田 そうですね。今年、すり足から一本足打法に変えたのも、駒田監督が来ていただいたからですし、今までにない自分が見えてきていると思います。

2016年前期シーズンの結果は勝率5割からの8連敗が響き、終わってみれば10勝17敗4分で3季連続の最下位に終わった高知ファイティングドッグス。

ただ、何点差がついても切れない声。得点を取った時の心からの喜び。そしてフルスイングに全力投球。「元気に野球をする」駒田 徳広監督の意識は間違いなくチームに浸透している。北米遠征で河田、4番のザック・コルビーをはじめ軒並み高知ファイティングドッグスの選手が活躍しているのは、決して偶然ではなく必然だ。

では、その中で河田 直人はどのように4年目のシーズンを戦おうとしているのか?中編では並々ならぬ彼の決意に迫る。